体外授精

1.卵巣刺激

ホルモン剤（内服、注射）を投与して多数の卵胞を発育させ、複数の成熟卵採取を目指します。

2.採卵

痛みを取るため、静脈麻酔をかけ、経腟超音波で卵巣の状態を観察しながら腟の壁より針を刺し入れ、卵胞から卵胞液と一緒に卵子を吸引します。
吸引した卵胞液はただちに培養室に運ばれ、顕微鏡下で卵子を探します。
採取された卵子はインキュベーターという、お腹の中の状態に近い環境に設定された機器の中で培養します。

3.受精（媒精

ご主人様から採取して頂いた精液の中から運動性の良好な運動している精子を選別し、採卵で得られた卵子と精子を一緒にし（媒精）、受精を待ちます。
体外受精は、事前に行ったご主人様の精液検査の結果や過去の治療歴から精子の状態が一定以上と判断された場合に行います。

顕微授精（ICSI）

顕微授精は、顕微鏡を用いて卵子の中に精子1個を注入します。
ご主人様の精子の状態が一定以下と判断された場合、または実際に体外受精を行ったにもかかわらず、受精できなかった場合などには顕微授精が適応となります。

4.胚培養

体外受精または顕微授精で受精した卵は受精卵（胚）と呼びます。
順調に発育しますと下図のように細胞分裂を繰り返しながら採卵後5～7日後には胚盤胞に発育します。
受精卵が胚盤胞まで発育する割合は個人差がありますが、一般的には4～5割程度と言われております。

胚盤胞期とは

着床できる状態に成長した受精卵のことです。
この時期になると受精卵は構造が変わり、将来胎児になる細胞（内細胞塊）と胎盤になる細胞（栄養外胚葉）に分かれます。

5.胚移植

胚移植とは受精卵を子宮内に移植することを言います。形態の良好な胚盤胞期の受精卵を原則1個移植します。移植する受精卵には孵化を助けるために、孵化補助法（アシステッドハッチング）を実施する場合があります。
胚移植は、子宮内に細く柔らかいカテーテルと呼ばれる管を挿入し、少量の培養液と共に受精卵を子宮内に注入します。痛みはほとんど伴いませんので、原則麻酔は行いません。

アシステッドハッチングとは

人工的に透明体（胚の外側を覆う膜）に切り込みを入れ、胚の脱出（孵化）を助ける操作です。
この操作によって、透明体の硬化などによる孵化障害を防ぐことができます。

透明体から完全に脱出した胚は、子宮内膜に接着（着床）します。

6.凍結保存

受精卵を液体窒素中で凍結保存することで、長期間の保存が可能となります。
体外受精を実施し複数個の胚盤胞が得られ、移植に用いられなかった良好な胚盤胞が残っている場合は凍結保存いたします。
凍結保存することで、もし妊娠に至らなかった場合に凍結保存した胚を融解することにより移植を繰り返すことが可能になります。